金継ぎを自分でやる方法|初心者が失敗しない手順・必要な道具・おすすめキット【2025年】

自分で金継ぎ

「金継ぎって、自分でできるんだろうか?」いちばん最初に聞かれるのはこの質問です。答えは「できます」。ただし、向いている人と、ちょっとしんどく感じる人がいるのも事実です。この記事では、

  • どこまでなら自分で直せるのか(難易度と限界)
  • そろえておきたい道具と、ざっくりいくらかかるのか
  • 本漆と簡易金継ぎ、どちらを選ぶべきか
  • 初心者がつまずきやすいポイントと、その避け方

といったところを、できるだけていねいにまとめました。

目次

金継ぎは自分でできる?難易度と費用

金継ぎは、特別なセンスがないとできない、というようなものではありません。どちらかというと、プラモデルや手芸に近い世界です。細かい作業を「楽しい」と思えるか。そして、乾くのを「ちゃんと待てるか」。ここがいちばんの分かれ目になります。

【自己診断】あなたは金継ぎ向き?

次の項目に、いくつ当てはまりますか?

  • 細かい作業がそこまで苦ではない
  • プラモデル・手芸・ネイルなど、やろうと思えばできる
  • 乾くのを待つのは平気(数日〜数週間放置できる)
  • 1回目はうまくいかなくても「これも味だな」と思える

2つ以上当てはまる方
→ 自分で始めてみて大丈夫です。

1つ以下の方
→ 無理に一人で抱え込むより、習いながら進めるほうが楽かもしれません。

費用の目安

ざっくり、これくらいをイメージしておくと安心です。

  • 自分でやる(キット購入):5,000〜10,000円前後
  • プロに頼む(修理依頼):1点あたり 5,000円〜数万円

自分でやる場合は、最初にまとまった出費がありますが、一度道具をそろえてしまえば、複数の器を続けて直せます。
2〜3個以上直す予定があるなら、自分でやるほうがトータルでは安くなる、という感覚です。

自分でやる前に決めること(本漆 vs 簡易)

手順に入る前に、ひとつだけ決めておきたいことがあります。それは 「その器を、これからどう使いたいか」 です。

① 食器として使いたいなら、本漆(ほんうるし)

マグカップ、お茶碗、お皿など、口をつけたり料理をのせたりする器は、基本的には本漆を使った本金継ぎでの修復がおすすめです。漆は「漆の木」の樹液を精製した、自然素材の接着剤・塗料です。

乾燥に時間はかかりますが、熱や水に強い、きちんと乾けば、長く安心して使えるメリットがあり、「ふだん使いの器」を直したいなら、本漆を選んでおくほうが結果的に安心です。

② 飾るだけなら、簡易金継ぎでもOK

一方で、

  • 花瓶
  • オブジェ・置物
  • アクセサリートレイ など

口が触れないものや、水や熱があまりかからないものは、合成樹脂などを使った簡易金継ぎでもじゅうぶんです。

  • 1日で形になる
  • 費用も比較的安い

ので、「まずやってみたい」「雰囲気を楽しみたい」という方には向いています。

簡易金継ぎの注意点

簡易金継ぎに使われる合成樹脂などは、商品によって食器に使えるかどうかが異なります。
「食器OK」と明記されていないものは、口が触れる部分には使わないほうが安心です。

※本漆と簡易金継ぎの違いをもう少し詳しく知りたい方はこちら
→ 本金継ぎと簡易金継ぎの違い|食器に使えるのはどっち?

金継ぎの基本工程(5ステップ)

金継ぎの流れは、大きく分けると5つです。「何をしているか」と「だいたいの時間」を一緒に書いておきます。
特に本漆は、湿度や温度、漆の厚みなどによって乾くスピードが大きく変わります。ここで挙げているのはあくまで「目安」で、全体で1〜3ヶ月くらいかかるつもりでゆっくり進めていくと安心です。

1. 接着(くっつける)

漆(または接着剤)で「元の位置に接着する」作業です。接着する前に、割れた断面の角をサンドペーパーで軽く削っておきましょう。これにより、破片同士の噛み合わせが良くなり、漆(簡易の場合は接着剤)が入り込む隙間ができて強度が上がります。面取りの際には、力を入れすぎないようにしましょう。

  • 作業時間の目安:10〜30分
  • 乾燥:1週間~2週間

うるしかぶれに注意しましょう。漆を使う際は、安全のために作業中は必ずゴム手袋を着用してください。もし肌に漆がついてしまったら、水で洗う前にすぐに油(サラダ油やクレンジングオイルなど)で拭き取ってから、石鹸で洗ってください。

2. 埋め(欠けを直す)

小さな欠けや隙間を、パテや錆漆で埋めて平らにする作業です。
ここで「段差をどこまで消すか」で仕上がりが変わります。

  • 作業時間の目安:15〜30分
  • 乾燥:数日〜1週間前後

3. 研ぎ(整える)

はみ出した部分をカッターや紙やすりで削り、面をなだらかに整えていく工程です。
いちばん地味ですが、ここが仕上がりを決めます。

  • 作業時間の目安:20〜40分

4. 塗り(漆を塗る)

継ぎ目の上に、筆で漆を薄く塗ります。
「厚塗りよりも、薄く何度か重ねる」ほうがきれいです。

  • 作業時間の目安:10分 × 数回
  • 各回の乾燥は数日見ておくと安心

5. 粉蒔き(装飾)

漆を塗ってから 15分〜30分ほど待ち、表面が少し落ち着いた半乾きの状態になってから、金粉や銀粉をふわっと蒔きます。器にお化粧をしてあげるような、いちばん楽しい瞬間です。

  • 作業時間の目安:5分
  • 乾燥:数日程度

※それぞれの工程の間には「乾くのを待つ時間」が入ります。
本漆の場合、全体で1ヶ月~3ヵ月前後見ておくと気持ちに余裕が持てます。

本漆を始める前には、乾燥に必要な「漆風呂(むろ)」を作ろう

漆は空気乾燥ではなく、湿気を取り込んで固まります。漆が乾燥する条件は、一般的に温度20〜30度、湿度70〜85% とされています。漆塗り職人の工房では、湿度と温度が管理された「漆風呂」に漆器を入れて乾燥しています。置いておくだけでは固まらないこともあるため、簡易的な「漆風呂(むろ)」を用意しましょう。

初心者でも作りやすい漆風呂に必要なものは、ダンボール箱、ビニール袋、濡れタオルです。段ボール箱の中にビニールを敷き、固く絞った濡れタオルを入れて湿度を保ちます。

必要な道具は?初心者は「動画付きキット」がいちばん楽

道具をバラバラにそろえることもできますが、

  • どれを選べばいいかわからない
  • 入れ忘れ・買い忘れが出る
  • 結局キットより高くついた…

という声をよく聞きます。金継ぎが初めてなら、必要なものが一通り入ったスターターキットから始めるのが現実的です。その中でも、とくにおすすめなのが「動画解説付きのキット」です。

なぜ動画付きキットが楽なのか?

  • 厚塗りの失敗が減る
    「どのくらい薄く?」が画面で分かる
  • 研ぎの加減が分かる
    カリカリという音や、削れていく様子が見える
  • 買い足しの手間がない
    必要なものがひとまとめになって届く

教室でも、「最初から動画付きキットで始めた方は、途中で投げ出しにくい」という印象があります。
紙の説明書だけで挑むより、失敗は半分くらいに減る感覚です。

初心者におすすめのキット

  • 食器を直したい(本漆でしっかり直したい)
  • まずは安く試してみたい(飾り用メイン)
  • 渋い銀色で直したい

自分に合いそうなキットをじっくり選びたい方は、以下を参考にしてください。
→ 【2025年】金継ぎキット・セットおすすめ比較4選(内部リンク)


初心者がやりがちな5つの失敗と、その避け方

自分で始めた方からよく聞く「やってしまった…」をまとめると、だいたい次の5つに集約されます。

  1. 厚塗りしすぎてシワになる
     早く直したくて、漆やパテをたっぷり盛ってしまうパターンです。
     中まで乾かず、表面だけ縮んでシワになってしまいます。
  2. 乾ききる前に触ってしまう
     「もう乾いたかな?」と指で触って、指紋がくっきり…という失敗。
     ぐっとこらえて、説明書より少し長めに待つくらいがちょうどいいです。
  3. 粉の扱いで慌てる
     金粉・銀粉をこぼしたり、息で飛ばしたり。
     テーブルをきれいにして、深めのトレーの上で作業すると安心です。
  4. マスキングを忘れる
     いらないところにまで漆がついて、「あれ?」となるケース。
     マスキングテープで“残したいラインだけを出しておく”と、仕上がりがきれいです。
  5. 簡易金継ぎで食器を直してしまう
     合成樹脂系のキットを、なんとなく食器に使ってしまうパターン。
     説明書に「食器OK」の明記がないものは、口が当たる部分には使わないほうが安全です。

こういった失敗を減らすには、やはり動画付きキットで、プロの手元を真似しながら進めるのがいちばん確実です。


こんな時は自分でやらない方がいい(プロに任せるケース)

キットがどれだけ優れていても、「これはやめておいたほうがいい」というケースもあります。

  • 複雑な割れ方をしているもの
    破片が粉々だったり、数が多すぎるものはパズルが難易度ハードです。
  • 明らかに高価な美術品・骨董品
    失敗したときのダメージが大きいため、最初からプロに相談したほうが安心です。
  • ガラス製品
    接着の跡がどうしても見えやすく、きれいに仕上げるにはコツがいります。

こういった器は、経験のある職人に任せたほうが、
仕上がりの美しさも、安心感も、やはり一段違います。

→ プロに頼みたい方はこちら
[【東京】金継ぎ修理の持ち込みおすすめ7選]

よくある質問(FAQ)

Q. 金継ぎは、本当に初心者でもできますか?
A. できます。大事なのは「器用さ」よりも「乾くのをきちんと待てるか」です。
まずは小さな欠けを1か所だけ直すところから始めると、挫折しにくくなります。

Q. 食器に使えるのは、どの金継ぎですか?
A. 一般的には、天然の漆を使う「本漆の金継ぎ」が推奨されます。
簡易金継ぎ(合成樹脂)は、商品によって食器使用の可否が異なるため、表示をよく確認してください。

Q. どのキットを買えばいいか迷っています。
A. 初めてなら、動画付きの本漆キットをひとつ持っておくと安心です。
価格・内容を比較したい方は、キットの比較記事も参考にしてください。
→ 金継ぎキット・セットおすすめ比較◯選(内部リンク)

Q. 完成した器の扱い方は?
A. 本漆は熱や水に強いですが、電子レンジ、食器洗い機、オーブン、直火の使用は厳禁です。優しく手洗いして長く愛用してください。

Q. 筆のお手入れ
A. 使った筆は水洗いせず、「サラダ油」などで洗います。油で漆を溶かし出し、最後に新しい油を含ませて保管するのが長持ちの秘訣です。

まとめ:まずは一つ、小さな器から始めてみませんか?

金継ぎは、壊れた器を「元に戻す」作業でありながら、同時に、その器との付き合い方をもう一度考え直す時間でもあります。自分の手で少しずつ直していくと、その器には前よりもずっと愛着がわきます。

「気になってはいるけれど、難しそうで踏み出せない」という方は、まずは小さな欠けが一つだけある器を選んで、キットで試してみてください。うまくいっても、少し失敗しても、それはその器だけの景色になります。

→ 失敗しない金継ぎキットの選び方を見る


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この記事を書いた人

割れてしまった大切な器が再び輝く姿に魅了され、金継ぎの情報を正しく・わかりやすく発信するメディアを運営しています。専門用語はなるべく使わず、初めての方でも「これならできそう!」と思えるような記事執筆を心がけています。

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